現実は、過去の自分の歴史を再現する可能性がある。自分の成功、失敗を、忘れるのではなく、正確にフィードバックして、修正していくことを積み重ねていけば、運用に生かすことができると思う。ピンカーの「20世紀の啓蒙」によると、人間の歴史は、長い時間をかけての啓蒙の歴史である。過去の歴史、自分の歴史、現実(最近)の歴史を擦り合わせることができれば、さまざまな予測ができると思う。
「風と共に去りぬ」(1939)。「凄いプロデューサー④」で紹介したセルズニックの代表作である。原作はとても面白い。映画は長大な原作にかなり忠実で、そして傑作である珍しい例である。主人公のスカーレットの性格は、今の人から見れば、共感を得ることは難しい部分がある。しかし、演じたヴィヴィアン・リーは、他の作品(「哀愁」、「欲望という名の電車」)でも、似たような性格の役柄が多く、本人の私生活も波乱万丈で、リアルさを感じる。ストーリーは、南北戦争をピークに、後半は没落した家族を支えるためのスカーレットの奮闘記だが、決して明るくない。そして死と別れという2つの離別で終わる。それゆえに大きな余韻が残る。セルズニックとスタッフは、全力でこの作品に挑んだようだが、おそらく無駄なこともいっぱいやっていることが予想される。しかし、だから、こういう作品が生まれたのだと思う。「アラビアのロレンス」、「山猫」同様、再現不可能な作品である。