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8月, 2021の投稿を表示しています

仕事のやり方②/プロデューサーの唯一無二の醍醐味

 いろいろなクリエイティブを組み合わせて、クオリティの高いものを作ることに尽きる。スタッフィング、キャスティングの力。相乗効果を最大限に上げること。

仕事のやり方②/競争

 ある地方で仕事をした時に、東京よりも単価が高い作業があった。現地の人に理由を聞いたら、競争がないからだと言われた。しかし健全な競争がないと腐敗する可能性が大きくなる。競争が厳しくてやっていけないのなら、やめるべきである。惰性でやり続けるのは、業界にとってマイナスでしかない。 権威のある賞を得るために競争することは良いことだと思う。しかしその賞がいつまでも権威を持ち続けるとは限らない。業界全体の売り上げが上がれば、賞も盛り上がる。賞が目的になっている業界に未来はあるのだろうか?

仕事のやり方②/新技術

 映像の場合、新しい技術は3Dのようにブームになって、あっという間になくなる場合がある。この繰り返しである。もちろんそういった試行錯誤を繰り返しながら、気がつけば世の中のスダンダードになっていった技術もある。 撮影に関してはフィルムからデジタルになってから、フィルム代、現像代等がなくなった代わりに、周辺機材などが増えてトータルでかかる金額はあまり変わっていない。むしろクレーンなど特機は高くなっている。しかしデジタルという進化をしているのなら、ある程度安くなっても不思議でないのにそうなっていない現場が存在する。技術スタッフは値段の高い最新なものが大好きな傾向にある。 安くてプロでも利用できるアマチュア用の新技術はいくらでもある。ためらわずに実験しながら使うべきだと思う。プロは普通の人が見てもわからないような部分にお金をかけすぎる傾向になる。ミスマッチが多いと産業自体が衰退するのではないかと思う。 反面あまりにも最新だと労力を惜しんで尻込みをするスタッフが多いのも事実である。数年前8KのVR映像を作ったことがあるが、驚くことに8Kを映すモニターがどこのポスプロにも存在していなかった。更にもっと前におそらく日本で最初のハイビジョンを使ったCMをプロデュースしたことがあるが、その時はまだマシで、ハイビジョンのモニターがある編集室は1箇所だけあった。技術は凄いのだがアウトプットできるものがないというのはザラである。発注する側にも問題がある。(8Kは大手通信会社。HDは大手エレクトロニクスメーカーがクライアントだった。) 最近の傾向としてARなどの新しい技術を、スマホ・アプリを使って、安くの世の中に出す例が増えている。しかしクオリティが低いとすぐに飽きられる。新しい技術で目の前の儲けしか考えていない人が多い。今までの技術と同様に儲けようとして、付加価値をつけようとしたり、極端に安くしたりする。そしてほとんどが負けている。新しいだけではダメだと思う。

儲ける/順張り

 人、技術、新しいマーケットの成長に投資すること。行き過ぎるとバブルになるが、何度も起こっているので、長い目で見ればある程度予測できるはずである。高値で売って短期的に儲けようとすると、成長のエンジンを止めることになる。日本のスポーツがオリンピックでメダルを取る数が増えたのは、スポーツに対して順張り投資を正しくやっているからだと思う。投資には時間がかかる。島国であり高齢化で人口減少の日本に勝ち目がないように思えるが、もっと条件が悪くて成長している国もある。目先の利益優先では未来はない。

儲ける/数字

 映像プロデューサーは数字を追うためにクリエイティブをやる位なら、他のことをやった方がいいと思う。テレビ番組のプロデュースをした時に、翌日に視聴率のシートが送られてくる。映画も劇場収入が規則的に送られてくる。コンスタントに数字を出すためのやり方はあると思うが、それはクリエイティブ以外の部分である。CMでも人気度を数値化した雑誌があるが、それを見てもほとんど参考にならない。それを見てクリエーターに発注するクライアントがいるが効率が悪いと思う。YouTubeの再生回数はクリエイティブと関係ないと思う。結果を出す凄いクリエーターを何人も見てきたが、個人の感性と世の中が最大の相乗効果を上げるために努力している。つまり、個人の感性の占める比率が大きい。それゆえ大外しも多い。クリエイティブにおける数字は目安に過ぎない。クリエイティブは自由であるべきである。

儲ける/かんたんに作る

 多くはないが、かんたんにできた名作、ヒット作がある。自分がプロデュースしたCMで、最初の会議の30分で企画ができて、何年も続いたヒットCMがある。当然、利益もいい。凝る人は簡単に作ることが難しい。プロセスが決まっていて、手順を踏む必要があるからである。ある監督にプレビズを作ろうと提案したら、プレビズを作ったことがないので、信用できないという。CMに関しては、画質にはこだわるが、それ以外で新しいことをやろうとするスタッフは結構少ないのではないか?そして、スタッフはいつまでも同じ人である場合が多い。凝る人の下にいた人は、簡単に作ることすら思いつかない。プロセスが宗教化している。もちろん企画によっては、凝る必要があるものもある。映像プロデューサーには、柔軟性、多様性が必要である。両方あると長く続けられる。

儲ける/コンテンツの値段②

 買う方の立場からしても、コンテンツは年々安くなっている。NHKのBSプレミアムで、高値のDVDの映画がただで見ることができる。最近閉店した近所のTSUTAYAの旧作は110円(2泊)だった。動画配信チャンネルを契約すれば、定額で月に何本も映画を見ることができる。私の学生時代よりも、映画を見るのに使っていた金額は、明らかに下がっている。コンテンツの値段は下がり、数も豊富に出回り、昔なかなか見ることができなかった名作、傑作が無料か安い値段で見ることができるようになった。しかし、映画館は、漫画原作かアニメばかり。トレンドにのると、同じような映画ばかりで、爆発的に人が集まる。シネコンは、サービスが充実していて、映画館の1人あたりの単価が増えている。かたや、ネットフリックスでは、映画並のクオリティの高いドラマが、映画館よりも安い金額で長時間見ることができる。名画座は減少し、映画館で見るべきものが個人的には無くなってしまった。 数が増えても、傑作、名作は比例して増えるわけではない。そして、数が増えるほど、傑作、名作を見る機会は減少する。映像プロデューサーは、数多くのコンテンツから傑作、名作を探して見る努力をしなければならない。

儲ける/コンテンツの値段①

 日本のコンテンツは安く作られすぎている。経営者が無能だからこうなっている。目先の利益だけしか考えていない人が多い。映像プロデューサーは、未来の利益を考えていないと、目先の利益すらも確保できなくなる。業績の良い会社も、未来を考えていないと、目先の利益が優先されるので、新しいものに対して後手になる。この繰り返しである。別に映像業界に限ったことではない。 大量の安いコンテンツと少量の高いコンテンツとでは、儲かる作品が生まれる可能性があるのは後者である。ディズニーを見ればわかる。NETFLIXが、世界を相手に大量の高いコンテンツを供給しているが、今後どうなるか興味がある。儲かっているかどうかわからないが、安くていいコンテンツはたくさん存在する。

儲ける/見積もり

 安い高いは、見積もりの単価と数量を見れば大体分かる。しかし、そもそも単価と数量が正確でなければ意味がない。めちゃくちゃな単価で作られている見積もりが多い。地道に調べることである。法外な単価が業界基準になっている場合、直そうとしてもなかなか難しいが、いつか覆される時がくるので、その時の準備をしておくべきである。法外な単価で儲ける体質を変えることである。逆に、予算が決まっている場合、数字合わせのために、安い単価を書く場合もあるが、その事実は残ってしまうので、次に仕事をするときに厄介なことになる。 映像プロデューサーは、時間があれば、積極的に相見積もりを取ることをお勧めする。相見積もりのチェックポイントは、総額でなく、仕事に対してどういう考えをしているかを知ることである。例えば、ロケの場合、天気予備が見積もりに反映されているか、後で、予算が増えそうなことに対してきちんとエクスキューズがされているかが記載されているかがポイントである。 正しい見積もり(単価と数量)とそれを読める人がいるだけで、作品の質は随分変わってくる。

儲ける/利益の基準

利益の基準は、業界ごとに大体相場がある。CGアニメの仕事をした時に、初めて人月計算というものを知った。利益を上げるために、原価と経費といかにうまく使うのかが、プロデューサーの巧拙なのだが、人月計算にしてしまえば、努力できる多くの部分を放棄してしまっているとしか思えない。日本のCGアニメが発展しない大きな原因だと思っている。映像プロデューサーにとって重要なのは、どういう目標(クオリティ、利益)を持つかである。少ない原価と経費でも、目標を達成すれば、全く問題はないと思う。そして、もっと重要なことは、利益の基準は永遠ではない。成長企業は、利益率の常識を覆して、躍進するところが多い。 余談になるが、プロデューサーが打ち上げをやろうと言ってきた時は儲かっている可能性がある。しかし、打ち上げをやることは悪いことではない。

儲ける/いいもの

 名作と言われる映画で、制作費がかかりすぎて、利益を上げていない作品がかなりある。見てみると、どこにお金がかかっているか大体わかる。いいものを作らねば、と利益を度外視して、半ば狂った目で、制作をするクリエーター、ディレクターを数多く見ている。けれども、そのやり方で長続きしている人は見たことがない。しかし、そうやって作られたものは、凝りすぎている部分があって、見ている分には楽しい。 時々、いいものを作るために予算を度外視することがある。しかし経験上、お金がかかったからいいものができるという保証はどこにもない。であれば、予算の範囲でいいものを作る努力をした方がいいと思う。赤字になれば、次に作る機会を失う可能性がある。簡単なことだがほとんどの人ができていない。映像プロデューサーの力が弱いからだと思う。いいもの、という人ほど、きちんとした予算管理ができていない傾向にある。