金が余ると、投資家はいろいろな投資先を物色しはじめる。REITや今まで見向きもされなかった業種。YouTuberが昔から上がると言っているコモディティ(本人はやったーと大喜び)。当然、専門家はもっともらしく見立てる。これは悪い兆候だと思う。そして、上がり続ける可能性が少ないので、どこかで売らなければならない。ではどこで売ればいいのか?誰にもわからない。気がついたら、元に戻っている、もしくは買った時よりも下がっている。いつかどこかで見た光景である。
「40兆円の男たち」という2000年代に活躍したヘッジファンドマネージャー9人に関する本。2015年に発売された少し古い本である。(当然、書かれてあることも少し古くなる。)面白いのは、それぞれやり方が全然違う。共通しているのは、市場やマーケットの隙を狙って、巨額の富を儲ける方法。頭が抜群によくて、情熱があり、運やまぐれと対極にある人たちである。しかし、最新の状況を調べてみると、ほとんどの人は大きな転落はしていないけれども、過去ほどの成績を上げることができていない。彼らのやり方が通用しなくなったということである。あまりにも高いリターンを達成すると、それを維持することはできなくなる。世の常である。数少ない成功し続けている人は、やり方を変えた人たちである。個人的には、それらは、よりインデックス+アルファ(長期分散)というやり方だと思っている。さらに面白いのは、本のあとがきをブラックショールズ方程式でノーベル賞を取った人が書いていることである。ブラックショールズは万能でないことが明らかにされている。過去の本を読む時は、最新の状況も調べる。歴史を知ることはとても重要だと知らされる絶好の「材料」である。