金が余ると、投資家はいろいろな投資先を物色しはじめる。REITや今まで見向きもされなかった業種。YouTuberが昔から上がると言っているコモディティ(本人はやったーと大喜び)。当然、専門家はもっともらしく見立てる。これは悪い兆候だと思う。そして、上がり続ける可能性が少ないので、どこかで売らなければならない。ではどこで売ればいいのか?誰にもわからない。気がついたら、元に戻っている、もしくは買った時よりも下がっている。いつかどこかで見た光景である。
イタリアの巨匠監督フェデリコ・フェリー二(「道」、「甘い生活」)の古い伝記を読んだ。面白かったのは、彼は、キャリアの後半におけるきらびやかな映像表現(「ローマ」、「アマルコルド」両方ともロケに見えるシーンも巨大なセットを作っている)が有名だが、製作費の確保にはいつも困っていたことである。あの、自由奔放な映像を作っているフェリーニでさえも、出資者が見つからなく、自ら金策に走っている。巨匠と言われる人の作品歴を見ると、巨大な利益を上げた名作を作っている反面、失敗した大作も多い。失敗した理由は、利益を上げた名作を再現したい人がお金を出すからである。しかし、そんなに簡単にはいかない。そこで、続編やシリーズものが出てくるのだが、個人的には映像の多様性に貢献しないと思っている。一方、キューブリックが「2001年宇宙の旅」の後に、わざと「時計じかけのオレンジ」を安く作ってヒットさせたのは興味深い。なかなかできることではない。