現実は、過去の自分の歴史を再現する可能性がある。自分の成功、失敗を、忘れるのではなく、正確にフィードバックして、修正していくことを積み重ねていけば、運用に生かすことができると思う。ピンカーの「20世紀の啓蒙」によると、人間の歴史は、長い時間をかけての啓蒙の歴史である。過去の歴史、自分の歴史、現実(最近)の歴史を擦り合わせることができれば、さまざまな予測ができると思う。
ダリル・F・ザナック(1902~1979) 女好きで、ダメ女優を主役にしたり、スキャンダルの多いハリウッドのプロデューサーだったが、脚本家出身で、制作した映画は社会性のある名作が多い。(「紳士協定」、「イブの総て」)、また、西部劇の巨匠ジョン・フォードとのコラボが有名。(「怒りの葡萄」「我が谷は緑なりき」どちらも西部劇でない)編集は、ザナックがほとんどやっていたようである。 自分の息子(「ジョーズ」のリチャード・ザナック!)をクビにしたりと最後まで世間を騒がせていたが、作るものは、一貫性があった。戦後の低迷期を脱出した大作戦争映画「史上最大の作戦」は、実はドンパチの少ない地味な映画だが、戦争に参加した様々な人間たちのエピソードを重ねた、私が好きなザナックらしい映画である。しかし「イブの総て」を見ると、とにかくセリフが多いのにびっくりする!伝記「ザナック ハリウッド最後のタイクーン」(早川書房 Amazonで中古を入手可能)